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ぱんせどフランセ

思いつくまま、たまに仕事のことなども。

福祉の現場に生きる人たちへのインタビューをもとに書いた
ルポルタージュ「日々を織る」も連載しています。
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社会のインフラとして vol.2|日々を織る
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    ☆「日々を織る」福祉の現場に生きる人たちのルポルタージュ☆

     

     

    Person 5   荒井 恵一さん

     

    社会のインフラとして

     

      序・大阪で社会事業を先駆した創設者

      進路を変えた人との出会い

      背中を見て仕事を教わる

      2人の師匠と、仕事に対する執念

      物事を動かしていく情熱

      機会を逃さず

      モチベーションの継続

      職員たちの力を育てる土壌

      地域の中に

      生活のお守り

     ⅺ 何かあったらウチにおいで

     ⅻ さりげなく地域の中にある

     

     

     

    八尾隣保館で仕事に就くまで、

    荒井さんに福祉分野での経験はなかった。

    高校時代に友人に誘われ

    ボランティア活動に参加したことがあったが、

    その時に感じた、してあげているという

    参加者の雰囲気に馴染めなくて2、3度で止めた。

    教員免許を取得していたし

    いずれ教師になろうという気もちを持ちながら、

    民間企業への就職を決めていた。

     

    そんな時、就職活動の中で友人に誘われて行った

    大阪府の社会福祉協議会に預けてあった

    履歴書を目にした先代理事長の坂江氏から連絡があった。

    預かりはするが求人の可能性はほぼ無いと、

    協議会事務所の人に言われていた履歴書を見たと

    かかってきた電話。

    話を聞いてみようと軽い気もちで会いに出かけた。

     

    就職が決まっていた企業での歓迎会の1週間後、

    少し伸びた髪に、スーツも着ずにラフな服装で

    伝えられた所在地に行くと、

    改装中の本館脇に設えたプレハブづくりの建物に

    「八尾隣保館母子寮」という古びた看板が掲げてあった。

    2月の寒空の下で見たその光景に、

    ぜったいに断わろうと思い、事務所の扉を開けた。

     

    石油ストーブの上でヤカンがチンチン鳴っている狭い部屋で

    対面した坂江さんから出た言葉は、

    『やる気はあるか、酒は飲めるか、麻雀できるか』だった。

    意表をつく質問に、

    「やる気があるかと言われたら、ある。

     酒は、まあ、飲める。麻雀は、必要だったら覚える」と答えた。

    すると坂江さんから「採用だ!」と即答があった。

     

    採用という返事は嬉しいことだが、それはそれで困った。

    何しろ1週間前に別の会社で

    入社の歓迎会をしてもらったところだ。

    時間をくださいと面接の場を後にして、

    入社が決まっている企業にどう辞退の意を伝えるか考えた。

    1970年代から80年代にかけて、

    けして世の中は好景気という状況ではなかった。

    自分の行動が、後輩に悪い影響を残してはいけないと

    大学の就職課にも相談し、丁寧な断わり方に心を砕いた。

     

    そして、いよいよその会社に断りに行く段になって、

    「あんな面接でよかったのかな、

     採用の内定通知をもらったわけでもないし」と

    一抹の不安がよぎった。

    何しろ、その場の口約束一つで、

    決まっている就職を取りやめようとしているのだ。

    そこで坂江さんに確認の電話をした。

    「これから、就職が決まっている会社に断わりに行くのですが、

     ほんとうに採用なんですよね」

    すると受話器の向こうから、強い声が返ってきた。

    「ワシを疑っているのか!」

    「疑っているとかではないですが、

     今までそんな会社が無かったので」

    と確かめたかった理由を説明すると、

    「間違いない!」と一言返ってきた。

    「じゃあ、断わりに行ってきます」と

    荒井さんは迷いなく行動を起こした。

     

    決断し、率直に伝える。

    その言葉を、そのまま受け取り行動する。

    既に決まっていた就職を断わり、

    進路を変えた人との出会い。

     

    「やる気はあるか、酒は飲めるか、麻雀できるか」

    今になれば、その質問は、予想外のことに面した時に

    どう対応するか、柔軟性や

    人との関わり方を見ていたのだと思えるが、

    学生だった当時は、ただ、その型破りな面接をした

    坂江さんを「ヘンテコなおっさん」くらいに思った。

    けど、面白かった。

    目の前に座り、話すその人から滲み出る人柄に魅力を感じた。

     

    「何よりも、この人と一緒に仕事をしたい。

     坂江さんの雰囲気、人柄に対しての勘、

     何か確信というようなものがあったというか。

     豪快だけど、きめ細やか。

     そんな人柄に、その時、魅力を感じた。

     この世界に入ってきた理由はそれだけですね」

     

    働いてみて駄目なら、その時、他の道を探せばいい。

    だからともかく、この面白い、魅力的な人と働こうと思った。

     

    「 人。人との出会い。

     どの社会にもあるかもしれないが、

     特にこの世界はそうではないかと、私は思います」

     

    荒井さんが坂江さんを面白いと思ったように、

    坂江さんも、きっと

    荒井さんに面白さを見つけていたのだろう。

    枠の中にとどまらず、柔軟に、人と関わっていく。

    型破りな面接で、先代理事長が見て取った資質で、

    荒井さんが福祉の世界でどう歩んできたか、

    そして、これから拓いていこうとしているのか。

    その道を追いかけよう。

     

                                                               

                次回「 背中を見て仕事を教わる」へ

     

     

    協力:社会福祉法人 八尾隣保館

    コーディネーター:社会福祉法人 産經新聞厚生文化事業団

     

     

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    | ☆ルポルタージュ「日々を織る」Person5 | 08:54 | comments(0) | trackbacks(0) |









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