2017.05.25 Thursday
「金に急いたら、花、咲かん」
「金に急いたら花咲かん」
もう昔の、ず〜いぶん若かった
桃の節句のころに聞いた、
近所の花屋のおじちゃんのコトバです。
店先には何種類かのバケツに入れ分けられた桃の花があって、
枝ぶりや花や蕾の充実など
素人目にもその区別の理由はそれなりに分りましがた、
2つ、一見して、そんなに大きな違いを見受けられないのに
お値段がそこそこ違っているバケツがありました。
2つのバケツを前に、この差の決め手は?と考える私に、
おじちゃんが言ったのです。
「1つは古い木の枝、
1つはまだ若い木の枝。
ぱっと見て、蕾のつきが似ていても
花が咲いたら違いが分る。
若いうちに切った枝か
十分に年月待って切った枝か」
へえ、そうなのか…と思ったところに、
おじちゃんのひと言。
「金に急いたら、花、咲かん」
客あしらいは奥さんに任せて、
あっちのバケツをこっちに、
こっちのバケツをあっちに、
年期のはいった長靴で黙々と動き回る
おじちゃんは背中ごしに、こう付け加えました。
「花も人も一緒やな」
おじちゃんの引退で、そのお店はなくなりましたが
このコトバは、心のうちから、なくなりません。
仕事を続けていると、
ついつい、楽をしたくなったり、
仕事をお金に換算してしまいそうになったりすることが
正直、あります。
そんな時、おじちゃんのこのコトバが降臨します。
おじちゃんは、
花咲か爺さんであります。
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