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ぱんせどフランセ

思いつくまま、たまに仕事のことなども。

福祉の現場に生きる人たちへのインタビューをもとに書いた
ルポルタージュ「日々を織る」も連載しています。
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囲いを打ち破る。Vol.10 |「日々を織る」
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    ☆「日々を織る」福祉の現場に生きる人たちのルポルタージュ☆

     

     

    Person 2  北井陽子さん

     

    囲いを打ち破る。

     

     人というものを好きになれる仕事

     人と関わろうと決めて

     福祉の世界へと導いた一冊の本

     理想と現実のギャップ

     理想への第一歩、スタッフと思いを共有する

     保護者の胸の内

     信頼を育てる

     一緒にゆっくり歩むという支援の姿

     垣根の存在

     内と外、二重の垣根

    ⅺ ひとつの出会い、垣根を破る突端

    ⅻ 子どもたちと利用者たちとの出会い

    xiii 垣根のない子どもの心

    xiv 地域の中へと、垣根のない道を  

     

     

     

    北井さんや職員たちの顔も覚えてもらい

    地域からの受注も増えるなど、

    「たんぽぽの家」が、地域に受け入れられたと思った

    矢先のことだ。

     

    北井さんと数人の利用者たちは

    リハビリとレクリエーションを兼ねた打楽器演奏の

    練習場へと徒歩で向かっていた。

    その道中、出会った子ども達が

    「わー、逃げろ、逃げろー」と口々に声をあげて

    鬼ごっこの鬼から逃げるように走り出した。

    遠ざかったと思ったら、近寄ってきて、

    囃し立てながら、また駆けていくということを

    ゲームのように繰り返した。

     

    「これは、やり過ごしてはいけないと

     その場で子ども達を叱りました。

     子ども達の学校が分かったので

     施設に戻ってから学校に連絡して事情を話し

     子どもさん達を叱ったこともお伝えしました」

    電話を受けた教職員の、分かりました、

    たしかにお聞きしました、という言葉で

    この一件は終わった。

     

    子どもというのは、驚くほどの観察力で

    自分たちの周囲を、大人を見ている。

    ようやく地域に受け入れらてきたと思った矢先の

    この出来事は、北井さんに

    地域の中に、人の心の中に潜んでいる

    隔ての存在を教えるものだった。

     

    隔ての存在を認め、その存在を境に

    地域を障害者にとっての向こう側の世界と喩えるなら、

    障害者にとってのこちら側の世界からつくる隔てもある。

    それは、障害者の保護者の、子どもを守りたいという思いだ。

     

    その日、「たんぽぽの家」は、

    地域のイベントに模擬店を出していた。

    そこへ遊びに来た「たんぽぽの家」の利用者が、

    模擬店で売っていたビールを注文して飲もうとした。

    すると付き添っていた保護者が、やめさせた。

    「昼間から、障害者が酒を飲んでる姿なんて、みっともない」

     

    昼日中、外でビールを飲んでいる姿は、

    その利用者の保護者の中にある

    健気で愛される障害者像から外れていた。

    周りの皆さんによく思われなければ、生き辛くなる。

    そんな世間への遠慮に似た気もちが垣間見えた。

     

    その子どもを守りたいという親心に胸が詰まった。

    それと同時に、強い疑問が湧き上がった。

    休日にリラックスして、昼のグラス一杯のビールを楽しむ。

    そんなちょっとした、非日常の楽しみ方を

    なぜ障害者はしてはいけないのか。

     

    真面目で純粋で控え目。

    そんな障害者像を、いつ、誰がつくったのか。

    狡い部分、嫌みな部分、そんな人間味は

    障害者だって持っている。

    いや、人間味と呼ばれる心の動きや欲求に、

    障害のあるなしは関係ない。

     

    そんな当然のことを当然とせず

    周囲の人に愛される、健気で真面目な姿で生きることを

    教え、求めることで子どもを守ろうとする親心。

    愛情ゆえの、それもまた

    ひとつのソフトな隔離ではないだろうかと北井さんは思う。

     

    内側からのこの塀を取り払うには

    それを取り払っても安全な環境を整えるほかない。

    完璧な安全をつくることは不可能だろうが

    少しでも安全な通路を地域のなかに整えていくことはできる。

    そう信じる心が、北井さんを次の一歩へと歩ませた。

     

         

                次回  ⅺひとつの出会い、垣根を破る突端

     

         ※「囲いを打ち破る」の次回更新は、

           年末年始を挟んで、1/11日です。

           

     

    協力:社会福祉法人 産經新聞厚生文化事業団

     

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    JUGEMテーマ:社会福祉

    | ☆ルポルタージュ「日々を織る」Person2 | 07:55 | comments(0) | trackbacks(0) |









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